この本を初めて読んだのは中学生の頃。友達に「面白い」と勧められたことがきっかけだ。
読書というものは面白いもので、同じ本でも自分の精神レベルによって受け取り方が全然違う。
初めて読んだときは「登場する男が全員ムカつく」くらいにしか思わず(もちろん読了したし、楽しめたのだが)深い感想を持たないまま時は過ぎ、この本のことは記憶の彼方へ行ってしまった。
この本と再会したのは近所のブックオフ。
懐かしさと100円という手軽さから、約10年のときを経て読み直すことになった。
最初に気づいた新たな発見はタイトルの意味だ。中学生当時は考えもしなかったが、タイトルには2つの意味がある。
ブルーもしくはブルー。
主人公の名前は蒼子だ。蒼いから、ブルー。
そして、ブルーは鬱蒼とした気分を連想させる。どっちに行っても憂鬱。
どちらも蒼子。そう、この物語には2人の蒼子が登場する。
蒼子はもともとは1人だったが、結婚相手を選ぶ段階で2人に分かれてしまう。
河見という男を選んだ蒼子と佐々木という男を選んだ蒼子。
2人はお互いの存在を知らぬまま何年も過ごすが(これは当たり前だ)、ある時偶然出会ってしまう。そこから物語は急激に面白くなっていく。
もしもあの時ああしてれば…そう思ったことは誰でも一度はあるだろう。
しかし、その選択をした自分の未来を知ることは決してできない。
蒼子以外は。お互いにもう一人の蒼子が羨ましくなった彼女たちは、入れ替わりを計画する。
しかし、それはいいことばかりではなかった。
隣の芝生は青いとはよく言うが、自分の人生においてもそうなのであろう。
しかし、まがいなりにもいろいろなことを考え、一生懸命生きてきた人生。
今の人生が暗かったとしても、その隣の人生(パラレルワールドに近いもの?)も暗いかもしれない。
なぜならば、どの人生の主人公も自分であることに違いなく、条件を変えても、自分が変わらなければ幸せな人生などありえないのだから。
実は私は今までの人生ですごく後悔をしていることがある。周りの意見に流されて、自分の本当にしたかったことができなかったこと。しかも人の意見に従ったにもかかわらず、結果は散々だった。
時間を戻してほしい。あの時に戻って人生をやり直したい。本当にそう思った時期もあったが、今では当時大変な思いをしたからこそ得たことがあったり、大切な人たちに出会えたりしたのではないかと思う。
この人生以外、とりあえずありえない。
この小説で言いたいことはおそらくそういうことだと思う。
あの時ああしてたら…と考えるのはあくまで結果論で、不毛だ。その選択をしていたとしても、おそらく完全なる満足はありえない。前を向いて、しっかりと生きていきたいと思えた一冊だった。
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