この話は王道のファンタジー
話の冒頭から天使が登場し、輪廻のサイクルから外れてしまった「ぼく」の魂に再挑戦のチャンスを与える。
そして自殺を図った真という少年の体に乗り移り、前世での罪を思い出す。
こんな設定に抵抗を示す人も多いかもしれない。
しかし、特異なのは設定だけで、この話はどこにでもいる少年の周囲との関わりや生きづらさを等身大に描いた、誰もが「それってわかる」と共感できる話だ。
大人ももちろん楽しめるが、中学生が最も楽しめる世代
なぜか。まず、主人公が中3であるから。そして、とても読みやすいから。
中学生目線の「ぼく」が語る形式で、難しい言葉はほとんど出てこない。
サクサクと読めるので、朝読書にオススメ。
「カラフル」というタイトルについて。
私はこの話を読んで6色に塗られたサイコロを思い浮かべた。
人にはいろいろな面がある。
誰もが優しさやずるさ、厳しさや真面目さ…いろいろな顔を持っている。
真正面からでは「黒」にしか見えないサイコロも視点を変えれば実はカラフルだったことがわかる。
人だけではない。日常も実はカラフルなんだ。そして、人は変化する。中身も場所も決して定まらない。
変化は自然だ。まるで色が変わるように。常に世界は色彩豊かで、世界というキャンバスはめまぐるしい。
だからこそ、希望が生まれる。
読み終わったとき、「よし、頑張ろう」と思えた1冊だった。
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