いつからだっただろう。自分の誕生日も人の誕生日もそこまでおめでたいと思わなくなったのは。
いつからだっただろう。法令線が気になりだして顔面体操をするようになったのは。
私は今20代後半だが、年齢を意識するようになったのは25を過ぎた頃だったと思う。
まだまだ若いと思っていて、実際に若かった学生時代。卒業してわずか数年のうちに年齢を感じるようになる。
同級生を見て。そして鏡で自分の顔を見て。女性が若いと言われる時期はあっというまに過ぎていく。
おかしい。男性は30代でもまだまだ青いと言われ、年齢とともに容姿に深みが増し、よりカッコよくなっていくのに。
女性は華の時期を過ぎれば衰えていく一方だ。
内館牧子著の「エイジハラスメント」はそんな女性の年齢に対する危機感に正面から切り込んだ作品だ。
主人公は30代半ばの主婦。
同世代の旦那と若い女子大生、主人公の母親など様々な世代の登場人物と関わりながら「年をとるとは何か」という問題に翻弄され、必死に若さを保とうとする。
この作品の良いところは、女性なら誰もがぶつかる問題について扱っているということ。
容姿の良し悪しは女性にとって絶対的な意味をもつ。容姿が良いだけで好きになった男性に好かれる確率は上がる。
容姿が良いだけで「頭が良さそう」とか「性格が明るそう」とか勝手なプラスイメージがつけられる。
容姿が良いということは女性にとってステータスなのだ。それを失ったとき、その女性には何が残るのだろう。
若さの絶頂期、見た目の絶頂期である10代から20代前半はあっというまに過ぎる。
それからの人生の方が圧倒的に長い。
私たちは若さを失ったとき、若さに変わる何かをもっていなければならない。
この本は女性の生き方について長期的な視野で考えさせてくれる。
30代の女性はもちろん、すべての世代の女性に読んでもらいたい本だ。
そして男性にも。女性が何を考えて生きているのかがわかり、パートナーと接するときに参考になるだろう。
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