この本の中には5編のクリスマスの夜に起きる奇跡が収められている。
5編合わせても200ページほどと、決して長い話ではない。
しかし、その短い話の1つ1つは人を確実に感動させる力をもっている。
特徴的なのは、この5つの話に登場する主人公たちは、揃いも揃って不幸(あるいは不幸だった)。
人が幸か不幸かは、客観的に第三者が判断するべきものではなく、「その人がどう思っているか」が決定要因である。ところが、主人公たちの境遇は何を差し置いても同情すべきものばかりだった。
なぜこの人たちがこんな目に合わないといけないのか。
より一層同情してしまわざるをえないもう一つの要素は、主人公たちがみんな綺麗な心の持ち主ということだ。
人を傷つけず、卑屈になることもなく、まっとうに生きてきた。人生は不平等だ。しかし、そんな彼らだからこそ、誰か(サンタさん?)が常識ではとても考えられない奇跡を起こす。
どの話を読んでも救いがあり、心がほっこりする。
そして、この主人公たちに救いがあって本当によかったと思えるのだ。
奇跡は誰にでも起こるものではない。一生懸命まっすぐに生きている者だけに起きる。
誰かがどこかで見ているのだ。そう思うと、生きる勇気が湧いてくる。
この話のオチを知っていても、なぜか何度でも感動することができる。
この前電車の中で「輝く夜」を読み返していたのだが、不覚にも目が潤んでしまった。
この後人に会うのにどうしよう、そう思いながらも、素敵な本に出会えてよかったと心からそう思った。
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