この本を書いた児童精神科医の佐々木正美さんは、ベストセラー「子どもへのまなざし」の著者であり、言ってみれば子育てのプロだ。
本書「子どもを伸ばすかわいがり子育て」を読むと、子どもを10歳までどう育てればいいのかがよくわかる。
本書は2003年刊行で、10年以上前の本だ。
10年の間に子どもを取り巻く環境は大きく変化したと思う。
しかし、環境が変わっても子どもの心や関わり方の基本は不変だ。私はこの本を読んで、以下のことを学んだ。
人は人と関わるときに喜びを感じる
核家族化が進み、人との関わりが希薄になる今日であるが、人間というものは1人でいるよりも誰かといたときに喜びを感じる生き物だと佐々木さんは述べている。
誰かと一緒に遊んだのが楽しい、お母さんと一緒にいて楽しい、こんな経験を積み重ねていき子どもは成長するのだ。
しかし、基本は親との関係である。
親に愛され、親といることに安らぎを感じた上で、様々な人と関わっていくのがいいのだ。
しかし、親自身が人と関わることに嫌気がさしている場合、子どもが人間関係に喜びを感じることは難しいそうだ。
実は私自身、一人でいることを苦と思わないタイプだ。
ではどうしたらいいのか?佐々木さんはそこにも救いの提案をしている。
親も地域の行事に関わるなどして、頑張って人と関わっていけば大丈夫とのことだ。
確かに、母親は生まれながらにして母親でいるわけではない。
徐々に親としての正しい姿勢などを身につけていけばいいのではないかと私は思う。
思いやりの心は後天的に育まれる
人は生まれながらにして他者に優しいわけではない。
乳児や幼児は自分が生きていくのに必死で、自分の行動により他者がどう思うかなど考えもしないそうだ。
私はこれを読んで腑に落ちた。「子どもは残酷だ」そう感じてしまうことが日常生活でたまにあるからだ。
他の子の傷つくことを平気で言う。人のものをとる。
そのような行動をすると、親はどうしても「どこでそんな悪いことを覚えてしまったのか」と悲しい思いをしてしまいがちだ。
しかし、多分そうではない。
子どもに悪意は全くなく、「思いやりの心」は大人が意識的に教えないと育まれないのだから。
だから、本当に小さいうちは大丈夫だ。時間をかけ、じっくりと思いやりの心を育んでいくのが大事だ。
では、どうやって子どもは「思いやり」を学ぶのだろうか。
一番大事なのは、「親が子どもを思いやること」だ。
思いやられたことのない子どもが他者を思いやるようになるわけがない。
私は、子どもの気持ちを常に考えられる母親になりたいと思った。
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子どもは、親のために生きているわけではない
子育てや教育をしていると、「なぜこの子は言うことを聞かないのだろう」とイライラしてしまうことはきっと多い。
しかし、その気持ちの中に「親のエゴ」が少なからず含まれていることを、私はこの本を読んで実感した。
子どもの言い分も聞かないで自分の価値観ばかりを押しつけては、うまくいくものもうまくいかなくなる。
子どもを思い通りにしようと躍起になると、大半の子は「切れて」しまい、そうでない子は親の愛情がわからず将来子育てをするときに苦労することになる。
なんでも子どものあるがままにということを言っているわけではない。
まず、子どもを受け入れる。そして、理屈を明確にした上でルールを教える。その順番を間違えてはいけないのだ。
最後に
子育ては何もかも手探りで、いくら本を読んでもきっと思い通りにはいかないだろう。
しかし、自分の中に「これだけは守る!」という子育てのベースをもつことが大事だと思う。
私は子どもの話を徹底的に聴き、受け入れ、旦那をはじめいろいろな人と関わりながら愛情をもって育てていきたい。そう思えた1冊だった。
読む人によって深く共感する部分は違うと思うが、子育ての参考になることは間違いない。
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