メビウスの輪を知っているだろうか。
リングが1箇所ねじれているせいで、はじめ表だったところは裏となり、裏だったところが表になる。
そんな不思議な構造をもった輪だ。
クラインの壺はそれをさらに多次元にしたもので、数学を学んでいる人なら誰でも知っている、有名なものだ。
私はこの本を「クラインの壺」という題名と「面白すぎて眠れなくなる」という煽り文句に魅せられて買った。
確かに面白かった。
ただ、400ページ強とやや長い。
この本は、こんな人におすすめだ。
・読書に慣れている人
「クラインの壷」は確かに面白い。
しかし、面白さが加速するのは物語の後半だ。
私は実は前半は「ちょっと期待はずれかも・・・」と思いながら読んだ。
まあ感じ方は人それぞれなので、最初からマックスで面白いと感じる人もいるはずだが。
個人的に、後半からじわじわくる小説なので、それまで耐えられる人つまり読書慣れしている人におすすめしたい。
SFが好きな人
この本は、主人公たちがゲームの中に入り込み、仮想現実を体験するという話だ。
思いっきりSF。
そういう世界観が好きな人におすすめである。
ちなみに私は「仮想現実」や「タイムリープ」の類が大好きなため、すぐにこの本をレジに持っていった。
「ハンターハンター」の「グリードアイランド編」を思い出す。
さっきも触れたが、この本の面白さは後半にあり、終盤に面白さが最高潮に達して終了する。
「ここは、どちら側なんだ?」
ラスト5ページでの主人公の疑問には鳥肌がたった。
これは他人事ではない。
私も私の周りにいる人も世界中の人も。
どうして本当の自分がここにあると断言できるのだろう。
本当の自分は機械の中で眠らされていて、意識だけの世界で生きているかもしれないのに。
見ている風景も食べたものも触れ合った温もりも、全てはまやかしかもしれないのに。
証明する手立てはどこにもない。
「ありえない」ということを証明するのは数学の世界で最も難しいことだから。
そうはいっても、私たちは「仮の現実」の世界を一生懸命生きていかなければならないのだ。
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