見た目の良し悪しは、人生に直接影響を及ぼす。
女性の場合はより顕著に。
「モンスター」は美を徹底的に追及した一人の女性のサクセスストーリーであり、ラブストーリーだ。
レストランを経営する主人公鈴原未帆は町1番の美人だ。
しかし、かつては「モンスター」と呼ばれるほど醜い容姿だった。
彼女は整形手術を繰り返し、世にも美しい女性となった。なぜここまでするのか?それは、一人の男への執着からだった。
この本は文庫本で500ページほどの長編。
しかし、私は2日ほどで一気に読んだ。
「モンスター」が美女に変身するまでの過程がとても痛快だったからだ。
私はこの本を読むまで、美容整形には絶対反対だった。
親からもらった顔を変えるなんて、あってはならないことだと思っていたからだ。
完璧ではないが自分の顔に愛着をもち、いじらない顔のままで堂々と生きていく。
それが人間の自然な姿で、整形手術はまるで川が下流から上流に流れるような、自然に抗う行為だと思っていた。
しかし、それはあくまで容姿でそこまで苦労したことのない人の意見だとこの本を読んで知った。
(私の顔は平凡なので、容姿で得をしたことも損をしたこともあまりないのだ。)
醜すぎる容姿は、他のどんな努力も無にするほどの破壊力をもっている。
未帆のかつての姿だ。美しくなくても、醜くないほどの容姿ならばつかめた幸せもたくさんあった。
普通の人ならば、醜いなりに地味に生きていく人生を選ぶだろう。
しかし、未帆は諦めなかった。自分の力で、コンプレックスを克服する道を選んだのだ。
そして、彼女は見事にそれを克服した。努力家であるという彼女の素質がなければ不可能だっただろう。
私がこの本を読んで一番思ったのは、代償を払えば多くのものを勝ち取ることができるということだ。
未帆が払った代償は少なくなかった。しかし、彼女が「幸せ」を感じていたことは確かだ。
他人が見てどう思おうが、彼女は幸せだったのだ。恋とは狂気なのかもしれない。
また、整形手術のあれこれが赤裸々に書かれている点も興味深かった。
8万円くらいで二重手術ができ、目が大きくなるならやってみたいと思う女性が多いのも納得だ。
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