私たちは常に何かを犠牲にしながら生きている。
自分の命と引き換えに世界から何かを消すならば、何を選ぶだろう。どこまで生き続けるだろう。
この物語は、主人公のガンが見つかり余命宣告されたところから始まる。
絶望している主人公の元に悪魔が現れ、「この世界から何かを消す代わりに1日寿命が延びる」という奇妙な取引を持ちかけられる。
実はこのあらすじは裏表紙に書いてあることだが、これを見て私は買ってみようかな、と思った。
不思議設定が好き
悪魔とは陳腐な…と正直思ったけど。 読んでみると、私はみるみるうちにこの世界に引き込まれた。
短い話の中に散りばめられた、いくつもの深い言葉。「本当に大切なものってなんだろう」そうこの本に問われている気がした。
私たちはたくさんのモノや人に囲まれて生活をしている。「自分とはなんだろう」そんな空虚な疑問を見て見ぬ振りをして、心に空いた隙間をモノや人で埋めようとする。
それがガラクタだったとしても消化不良を起こすまで気がつかない。
世の中、いらないモノばかり。そして、いらないモノに囲まれていると、本当に大切なものが見えなくなる。
何かを得るためには、何かを失わなければならない
それがこの本のキャッチフレーズだ。何かを失って初めて大切なものが顔を出す。
私たちは何かを失う勇気を持たなければならないと思った。それと同時に希望が生まれた。
今まで「大切だ」と思っていたものは、実は大切ではなかったのかもしれない。失うことを恐れないで、物事の本質を見抜く力を持ちたいと思った。
そして、大切なものを見つけられたらそれを離さず大事にしたい。 2時間あれば読める短い小説だが、とても濃い話だった。
コメント
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