私が森見さんの作品に初めて出会ったのは大学3年生か4年生の頃だ。
深夜アニメで「四畳半神話体系」が放送されていて、普段見ているアニメとは全く違う雰囲気であるそれに私は魅了された。
普段決して使わないような難解な語彙を駆使しているのに関わらず、内容がスッと頭に入っていって、1つ1つの単語が面白い。
後日購入した森見さんの原作はアニメ以上に面白く、個性的過ぎる登場人物に囲まれた主人公の奇想天外な大学生活に全ページを通して楽しむことができた。
そして、森見さんのデビュー作である「太陽の塔」も、他の作品に負けず劣らず面白い。
京都大学に通う5回生(1年留年している)主人公の、独りぼっちで過ごさなければならないクリスマスまでの悲哀を描いた作品だ。
作品中で時間は2週間ほどしか経過していないが、日々の出来事を過去の回想も交えて実に濃密に描かれている。
過去の恋人への執着や妄想。愉快な仲間たちと私には決して思いつかない単語の数々。
「太陽の塔」は日本ファンタジーノベル大賞をとったらしいが、納得。
つくづく思うのが、「バカと天才は紙一重」ということだ。おそらくこの主人公のIQは高い。
読書家で知識が多くて、仲間との難解な語彙でのやりとりも痛快だ。
自分の状況を冷静に考え、考えすぎてよくわからない行動をしていて笑ってしまう。
仲間たちと企てる様々なことも実にくだらなくて生産性がない。
でも、こういうバカみたいな日々が大学生活の醍醐味なんだと思う。
若いっていいな、青春っていいなと思った。
私は大学生が主人公の森見さんの小説しか読んだことがないが、小学生が主人公のものもこの前本屋で見つけた。
文体はどう変わるのだろう。すごく気になるのでそちらも読んでみたい。
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