【キュートで異色な恋愛小説!】森見登美彦 夜は短し歩けよ乙女 【間違いなく声に出して笑える】

読書感想

「夜は短し歩けよ乙女」は2007年に山本周五郎賞を獲得した。

同時に本屋大賞2位に選ばれているからすごい。

私はタイトルだけ知っていたが、中身を全く知らなかったので、「どんなにすごい作品だろう」と期待に胸を膨らませながら読んだ。

そして、この作品は確かに上記の賞にふさわしいとしみじみ思った。

青春っていいな。大学生っていいな。この作品の世界とお別れすることを惜しく思いつつ、読み終えた。

夜は短し歩けよ乙女 角川文庫

この話の主な登場人物は2人である。京都大学の学生である「先輩」と「黒髪の乙女」。

黒髪の乙女はまさにタイトルにある「乙女」と同一人物だ。

この2人が交互に語り手となり、物語は進行する。先輩は黒髪の乙女に恋心を寄せているのに彼女は全く気がつかない

すれ違っていく先輩の片思い模様が春夏秋冬、4つの話に分かれて展開されていく。

「黒髪の乙女」と聞くと、「近寄りがたい高嶺の花」といったイメージを自然と抱いてしまうのだが、実は全くそんなことはない。

この乙女、最高にいいキャラをしている。

お酒を求めて夜の街を闊歩し、出会った男性に猥褻なことをされても「貴重な人生訓を聞かせていただきました。私の乳なんぞ安いものです」と本気で思ってしまう。

どこへ行くにもまっすぐな心で、夜の街と、古本屋を、文化祭を、てくてく歩く。

面白いものを探し求め、小柄な体でまっすぐ歩く。途中いろいろな奇抜な人たちに出会いながら、乙女の歩みは続いていく。

先輩の語りももちろん面白いが、乙女の語りがそれ以上に最高で、言葉の1つ1つに笑えてしまう。

夜は短し歩けよ乙女

私のお気に入りは、第3話の「御都合主義者かく語りき」だ。

文化祭の1日を描いたものだが、この文化祭がとてもバカらしくてユニークなのだ。

好きな人と再会するまでパンツを脱がないと決めた「パンツ総番長」文化祭のためにいろんなものを犠牲にする「事務局長」など、個性的な人物が次々と登場する。

森見さんの語彙は本当に豊富で、私の言葉ではこの面白さを語れないくらい面白い。

4話全て面白いが、この話は特別なのではないかと思う。

「夜は短し歩けよ乙女」はエンターテイメントとして面白い。

つまり、バカバカしくて笑えるのだ。

若さゆえの無茶振りがぎゅっと詰まっている。

しかし、その中に散りばめられた青春の輝きを確かに感じることができる。

そして、魅力的な乙女に恋心を寄せる先輩に全力でエールを送りたくなる。そんな青春小説だった。

夜は短し歩けよ乙女 角川文庫

コメント

  1. Chassidy より:

    Keep these arceltis coming as they’ve opened many new doors for me.

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